DNAの基本知識
昨今、古代史の研究は、遺伝子工学の発展に伴い、従来とは異なった視点での検証が進んでいる。考察0002で軽く触れたネアンデルタール人のゲノム分析やハプログループといった分類についても、発掘された遺骨の遺伝情報を直接調べたり、現在生きている我々の遺伝子を解析して統計的な処理を行うことで、研究されているものである。
DNAとは?
そもそも、DNAとは何か?ということについては、義務教育で基礎的なことは習ったと思うが、一度おさらいしておきたい。C,T,G,Aの塩基がヌクレオチドを介して直線上に並んだ配列を核DNAと呼ぶが、詳細は割愛する。生物は次世代に遺伝情報を引き継ぐことで、自身の形態を引き継ぎ、繁栄するものである。中でも、人間の様に両性を持つ生物の場合は、両親の遺伝情報を半分ずつ引き継ぐ仕組みとなっている。
現在、定説とされている進化論では、生物は、遺伝情報を引き継ぐ中で、DNAに変異が生じさせ、適者生存のスクリーニングを受けつつ生物としての多様性を獲得したと考えられている。一方で、インテリジェント・デザイン仮説によると、生物の初期状態は超越的な何者かによって作り出されたものとも言われている。いずれの場合であっても、生物はDNAを次世代へと引き継ぐことで種としての形態を引き継いでいるシステムは科学的に観測された事象である。
核DNAとミトコンドリアDNA
さて、そのDNAについてだが、人は大きく分けて二種類のDNA情報を持っている。細胞核内にある核DNA。もう一つはミトコンドリア内に存在するミトコンドリアDNAである。
核DNAは46本(23対)あり、大半の遺伝情報を持っており、両親から引き継いでいくいわゆる遺伝情報である。特に、Y染色体については、男性にしか存在しないDNAであることがわかっている。一方のミトコンドリアDNAは主にエネルギー代謝に関わっており、母親からのみ引き継がれるDNAとなっている。
また、遺伝子解析時の特徴として、核DNAは多くの試料を必要とし、ミトコンドリアDNAは比較的少量の試料でも解析可能というものがある。その理由として、核DNAは一つの細胞に一つだけしか存在しない一方で、ミトコンドリアは一つの細胞の中に数十〜数百存在し、さらに、一つのミトコンドリアの中に複数のミトコンドリアDNAが存在するためである。
多様性の獲得
世代間の遺伝情報の引き継ぎは、基本的に父系・母系のDNAを引き継ぐことになるが、常に完全にコピーされるとは限らず、突然変異によって両親とは異なった特徴を持つDNAが発生することがある。
この突然変異の遺伝子がさらに何世代にもわたって引き継がれていく中で、特定の集団だけが持つ遺伝的特徴となっていくのである。
ハプログループ
特定の集団だけが持つ遺伝的特徴について、一塩基多型(SNP)を統計的に分析したものがハプロタイプである。SNPの分析による分類は、医療分野でも病気と遺伝子的特徴の分析などにも活用されているが、ハプログループと呼ばれる分類を使った進化遺伝学の研究にも活用されている。
さて、進化遺伝学の観点で、一般的に知られている分類は、Y染色体ハプログループとミトコンドリアハプログループの二種類だろう。Y染色体ハプログループは父系のみの継承であるため、共通の父系を持つグループとされ、ミトコンドリアハプログループは母系のみの継承であるため、共通の母系を持つグループとなっている。
先ほど述べた通り、核DNAであるY染色体は多くの試料を必要とするため、古代の遺骨からでは十分な試料が確保ができないことがある一方で、ミトコンドリアDNAは比較的多くの研究が行われているという特徴もある。
まとめ
遺伝子解析の基礎知識をまとめてみた。Youtube動画などで話している内容の参考まで。